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力ニ殻農法で安全な食物づくりを②
ポストハーベストのはなし


キチン・キトサン協会会員 赤松勇一

「ポストハーベスト農薬」の問題

私は家畜の糞等を一切使わず、「有機微生物農法」というやり方でコメづくりをしています。

では、なぜ私が家畜の糞等を使わないのか・・・今回はそこのところを今少し掘り下げて解説してまいりましょう。

人間の食べるものもそうですが、現在での家畜のエサは粗飼料の一部を除いては、そのほとんどがアメリカやオーストラリアなどの外国からの輸入農産物で造られています。

ひとつ牛のエサに例をとって眺めてみますと、牧草や稲ワラ等の粗飼料は自給自足できますが、最も重要なタンパク源でもある濃厚飼料の原料である小麦、大豆、トウモロコシ等は100%輸入農産物に頼っているのが現状です。

私が皆さんに問題提起したいのは、その輸入農産物にまつわる措置についての良否ですが、皆さんは「ポストハーベスト農薬」という言葉をご存知でしょうか。

日本語に訳しますと、ポストは後、ハーベストは収穫するということで、農産物を収穫した後に防虫や防菌、防カビ等の目的で、再び農産物に散布する農薬を「ポストハーベスト農薬」というのです。

外国でとれた農産物を日本へ運ぶときは小量であれば飛行機で運べますが、量が多くなってくるといやがおうでも船舶に頼らなければなりません。飛行機なら1日で着くところも船便になると十数日の日数を要します。もちろん航海中での温度湿度も毎日変化してくるでしょう。

何も対策を講じないでおけば船倉に於て虫がついたりカビが出たりしてたちまちのうちに商品価値がなくなってしまうことは言うまでもありません。

そこで輸入農産物は船積する段階で必ず何らかの方法でポストハーベスト処置が行われる事は間違いありません。そしてポストハーベスト処置に使われる農薬は当然のこととして残効の長いものが使われるのは申すまでもない事です。

牛がエサとして食べさせられている外国産の小麦やトウモロコシ等には発ガン性のある農薬も散布されているかもしれないのです。

胃や腸である程度は消化されるとしても、排出される糞の中にはまだまだ沢山の農薬が混ざっているはずです。私が家畜の糞等を一切使わない理由は、つまりは今申し述べたことから端を発しているのです。

話は変りますが、私のつくったコメにまつわるハプニングをここに披露します。昨年(1992年)夏のことです。私がつくったコメを食べている一部の人ですが、送り届けたコメを約2 週間から20 日間住袋に入れたまま放置しておいたそうです。

前の米がなくなったので米びつに開けようとして袋を開けたとたん、ウジ虫がニョロニョロと這い出してきたというのです。気持が悪いばかりか今まで米店から買っていたコメではそういう経験が全くなかったので、怒りと興奮の電話を頂きました。

私は謝りながらも何故に虫が発生したのか追跡しながら詳しく説明をしました。・・・もちろんポストハーベストのことをです。

通常ポストハーベスト処置を講じないコメは乾燥の度合や保管の方法によっても若干の差がありますが、梅雨期を迎えますと虫が発生し易くなるのが常並のことなのです。

以来その人との交流はありませんが、その時の大きなハプニングで私自身もポストハーベストについて改めて再認識させられた感がいたします。

ついでだから申し上げておきますが、米店で買うコメでも長期間放置すれば虫が出るコメもあることを知ってもらいたいと思います。(流通ルートの違い)いわゆる正規のルートで米店に入ってくるコメは必ずポストハーベスト処置を行うので虫の発生はありませんが、不正規ルート(ヤミ米) のコメは十中八九虫が発生し易いものと思います。

キチン・キトサン協会の副理事長でもある工学博士の福地知行先生の談を借りると、たとえダイオキシンを含んだ農薬でも、醗酵微生物の力で分解してしまうということですが、本当にそうでしょうか。たとえそうだとしても全国にこれを実践しようとする農家は果して何人いるか?

一般の農家には「馬に念仏」ではないかと思います。
私はカニ殻等を温醸醗酵してから田畑へ施用していますが、一般の農家で使われている「堆肥」は牛舎から出したばかりの生糞を自然堆積したものがそう呼ばれているのです。


(出典:「キチン・キトサン協会誌」VOL.13より)


力ニ殻農法で安全な食物づくりを ~キチン・キトサン協会会員 赤松勇一
①稲作への力ニ殻(キチン・キトサン)の応用 ②ポストハーベストのはなし ③作物はなぜ病気に罹るのか
④温醸醗酵について ⑤コメづくりの基本として ⑥私のイネづくりのやり方

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