疲労とキチン・キトサン
キチン・キトサン協会副理事長
工学博士・静岡県立大学薬学部
名誉教授 福地知行
工学博士・静岡県立大学薬学部
名誉教授 福地知行
生きていてよかったと本当に感じるのは、健康に満ち溢れている時よりも、そこに到達するまでの間なのかもしれません。
そして、本当に健康を取り戻したとしても、時々本当に健康なのか、このまま健康を持続できるだろうか、などと不安になる事があります。
この様な不安はどこから来るのか、何が原因なのか。この不安こそがストレスと言われるものなのです。
Stress:ストレスとは圧縮力の事であって、Strain:ストレイン(引張り力)と共に物理学上の力の形を示したものであり、これが転じて”歪み”という語で表されるもので、“ひずみ"とか”ゆがみ”と言われるものです。
体や心にこの歪みが加えられると、何となく違和感が生まれ、やがて疲労となり、体調を崩します。つまり健康が害されるという事になります。
こうしてストレス→不安→疲労→不健康と続いて行く。そしてそのストレスは、種々の原因で発生し、毒物による中毒などの様に簡単ではありませんが、常にストレス状態になるような事は避けなければいけません。
それは強いストレスの継続は疲労の蓄積となり、遂には最悪の場合極めて深刻な状況が発生する。つまり”突然死”や”過労死"といったことが生じるという事だからです。
したがって、我々は何とかして早期にこのストレスを解消する方法を見出すよう努力する必要があります。
「近頃どうも疲れ易い」とか「すぐ疲れる」といったことで、肉体的的な疲れであれば、休養する事だけで解消する事が可能かも知れません。
しかし、精神的な疲労を伴ったもの、つまり近代的な疲労は各種原因要素が複雑にからみ合って発生しているものが多く、単に体の休養だけでは解消出来ない事が多いのです。
そこで、疲労解消法を食生活という側面からお話しましょう。
人問の活動に必要な原動力の源は食です。「食」は、人間の身体を形成する要素、骨格、皮膚、消化器官、循環器官、あるいは神経系統とかを充分に働かすために重要なものです。
食生活の改善は、身体形成要素の疲労を取り去り、活力を与える事を目的としたものとして、過去に数多くの研究がなされてきました。
この研究から、近年大きく発展したものに、第7の栄養素といわれる動物性繊維があります。その最先端にあるのがキチン・キトサンです。
甲殻類の体から抽出されたキチン・キトサンは動物性繊維としてほとんど無尽蔵に近い量で生産可能で、特にカニ殼からとれたキチン・キトサンは極めて有用な機能性を持つ食品です。
基本的にヒトに不可欠な成分といえるものであり、さらに免疫力を高め、精神的な活動の原動力を持つものとして、その全貌が明らかにされつつあります。
また、それが持つ性質、幾能は多岐にわたり、食品ばかりでなく、工業的にも農業の分野においても、キチン・キトサンは21世紀の輝かしい発展が期待されています。