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生態系の中のキトサン
~キトサン製品誕生までの道のり

宇宙、ビッグバン | 地球、微生物の進化 | 機能性素材、キチンの構造 | 食物、キチンの連鎖 | 細胞、キチンの分布 | 食物繊維、キチン | みえてきたキトサン① | みえてきたキトサン② | キチン質、キトサン | 脱アセチル化、キトサン

宇宙、ビッグバン

宇宙の始まりは、ビッグパン(BigBang) と呼ばれる大爆発でした。

それまで何もなかったところに(あるいは何かあったのかもしれないが)突如として爆発が起こったのです。

それは高密度・高温度の点からスター卜し、一秒後には一光年の大きさになり、三分後までにヘリウムが形成されました。

約10万年後には4000度ほどに冷えて水素原子ができ、やがて銀河系が誕生しました。宇宙は現在も膨張し続けていますが、現在の大きさは約150億光年、そして年齢は約150億年と推測定されています。

宇宙空間に散らばっている塵が互いの引力や凝集力などによって集まり、現在の地球の大きさにまでなったと考えられています。

それが約46億年前のことであり、生命が誕生したのはそれから約10億年後のことです。

初期の地球は酸素が薄く、太陽からの紫外線が強く、とても生物が生きていける環境ではありませんでした。しかし、大気や海洋が形成されるにつれて、地表に生命が出現できる環境が整っていきました。

最初に現われた生物は細菌類やラン藻類で、細胞内に核をもたないことから原核生物と呼ばれています。化石として残っている最も古い生物は、ソウ類です。

5億7000万年前の古生代には、三葉虫が出現しました。この三葉虫は約2億年前に絶滅しますが、形態からも昆虫や甲殻類の先祖だと考えられます。そこで想像されるのが、三葉虫はキチンの衣をまとっていたのではないか、ということです。

原核生物は核をもたないばかりでなく、ミトコンドリア、葉緑体、小胞体などの細胞小器官ももちません。原核生物の細胞内では、遺伝子の本体であるDNAは塩基性タンパク質とは結合せず、いわば裸の糸の状態で存在します。


地球、微生物の進化


生物の進化には、突然の変異によって従来とは異なった環境にも適合していったという一面があります。

原核生物から真核生物、そして単細胞生物から多細胞生物への変異の中でもその生物がセルロースを得たか、それともキチンを得たかによって、進化のありように大きな迷いを生じました。

細胞壁としてセルロースを得たものは、やがて植物や脊椎動物へと進化していき、キチンを得たものは三葉虫を経て節足動物や甲殻類へと進化していったのではないでしょうか。

地上の生物が最も苦労するのが水分の保持です。体内で起きる生命活動とは、すなわち化学反応であり、水があってこそスムーズに進行します。そこで、体内の水分を蒸発させないために、地上の生物は耐水性の衣を着ることになります。それがセルロースであり、キチンです。

原始的な生物から、カビやキノコなどの菌類を見てみましょう。菌類では、細胞壁にキチンを含みます。キチンは体内の水分の蒸発を防いではくれます。しかし、成長するためには丈夫すぎる衣は障害でしかありません。

そこで菌類の菌糸の先端で何が起きているのかみてみると、最初から細胞壁にキチンを合むのではなく、菌糸が成長するにしたがって周囲のグルコースやNーアセチルグルコサミンを取り込んでグルカンやキチンを合成していることが分かりました。

すなわち、成長してから周りを鎧であるキチンを分解してしまえば良いということです。その酵素がキチナーゼやリゾチームです。

セルロースもキチンも、細胞壁を構成する物質です。したがって、その構造もよく似ています。セルロースはDーグルコースがβ (1.4) 結合したものです。

構造も似ており、生体内に存在する位置も似ているということは、地球の生態系のバランスから考えて、生物生産量もまたほぼ等しいと推測されます。

すなわち、年間1千億トンという膨大な量です。セルロースは主に、植物繊維として人間の衣・食・住に深くかかわっています。

木綿や麻などの繊維も米や麦などの殻物、木の柱や紙などは、すべてがセルロースを含むかセルロースそのものです。

機能性素材、キチンの構造

キチンは構造的にはセルロースに類似していますが、アミノ多糖であるためにセルロースを超えた、あるいはそれと異なった利用・開発が可能なはずで、新しいタイプの機能性素材として高い可能性を秘めていると考えられます。

昭和59年から昭和60年にかけて文部省は「昭和60年度文部省科学研究費総合研究( B )」の中で「キチン・キトサン及び関連酵素の基礎・応用研究の新展開」と題して多額の研究費を大学等に拠出しました。

キチンの利用が遅れていたのは、不溶、不融といった取扱いの難さに最も大きな原因があります。

そこで、このキチンに種々の修飾を行い、その特性を引き出す試みが盛んになりました。

その代表的な修飾反応は脱アセチル化反応と呼ばれるものであり、キチン粉末を濃アルカリ中で加熱すると、アセトアミド基の加水分解が起こり、遊離アミノ基をもつキトサンが生成されます。

完全な脱アセチル化には困難が伴いますが、研究家の間では、アルカリ処理と洗浄を繰り返すことによってできたキトサンまでを自然体のものとすると定義づけました。

キトサンは、酸性水溶液には塩となって溶解してポリカチオンとなる為、水処理の凝集材として工業用として今まで我国で年間およそ600トン程消費されてきました。

このキチンを食品として摂取した時の効用が研究され、研究者の注目の的になった理由は、キチンが動物の体内に入ると免疫力が高められたり血液中コレステロールが低下するという報告が多くの大学の研究室から相次いで発表されたからです。

しかしこのキチンがもたらす恩恵は、人間だけに限られたものではない。そもそもキチンは微生物や昆虫が過酷な自然条件の下を生き残る為に獲得した「鎧(よろい)」です。これは体内の水分が蒸発するのを防いだり、外敵から身を守る目的で備わったものです。

これらの小動物を食べる大型動物にしても、キチンの摂取そのものは目的ではありません。それどころか小動物体内の養分を吸収するには邪魔者でしかありません。

何らかの方法でこの邪魔者を取り除かなければいけませんが、これらを必要とする動物にはその唾液の中にキチン分解酵素であるリゾチームという物質がちゃんと含まれています。

同様に植物はキチナーゼ、キトサナーゼという物質をいつも根から分泌して必要なキチンを分解して各々の体内に吸収できる機構を構えています。


食物、キチンの連鎖


地球は、その誕生から46億年を経ているといわれます。広い宇宙の中に空気と水と緑の青い星が存在するのは、まったくの偶然かも知れません。

私たちは、そのまったくの偶然をよりどころに生きています。生きていくための地球の食物連鎖が完壁であるとするならば、地球上では何も減らず、何も増えない。植物の数も動物の数も水も空気も安定しているはずです。

そして、すべての物質や生物にはなんらかの役割があり、その中で生物はお互いが影響し合うことで、生命力を高めています。

食物連鎖に組み込まれた生物たちは、無抵抗で、食べられているわけではありません。逃げ足の早い草食獣を追うために、肉食獣が瞬発力を身につけたようにお互いが活性化していくのです。

そこで、植物や微生物、小動物の場合を観察してみましょう。植物は微生物に侵されない様に、ある物質を分泌しています。一方の微生物は過酷な自然環境から身を守るために、ある物質で作った防御服を着ています。

そのある物質というのが、キチンとそれを分解する酵素です。生物を注意深く観察していくと、多くの生物にキチンあるいはその分解酵素が存在することが分かりました。

多くの生物にキチンや分解酵素が含まれているのならば、それを体系付けられはしないでしょうか。人間も食物連鎖の中のー動物であり、人間にとってもキチンは重要な物質であり、健康に生活していくためには必要欠くべからさる物質です。

食は文化であり、時代と共に変わっていくものです。捕鯨は日本の文化でしたが、日本人が魚しか食べていなかった頃の文化です。

宗教上の制約が少なかった日本では、他に食べるものはいくらでもあります。宗教上の制約や文化、風習などによって、食物が制限されている国は多いですが、それでも人間は生きています。

明治以前の日本人は、牛や豚を食べませんでした。それを食べるようになったから健康になったかどうかは別問題です。

そろそろ食生活を見直して実行してはどうでしょう。和食ブームとして捉えるのではなく、和食にあったのにいつのまにかなくなったもの、それを再発見することが、私たちの食生活を豊かにしていきます。キチン連鎖から取り残されない様にしたいものです。


細胞、キチンの分布


私たちの体は、約60兆の細胞からできていることは良く知られています。その細胞壁は、セルロースやタンパク質を主成分としており、これは脊椎動物全般に共通しています。すなわち、細胞レベルでは人間も動物の一種類にすぎません。

さらに、細胞そのものの構造を微細に観ていくと、大腸菌などの細菌や単細胞生物、植物にいたるまで、決定的な差異は見い出せません。地球上の生物は、生命を維持するシステムが共通しているからです。

それは、高分子物質を取り込んで、低分子物質化して排出し、その結合エネルギーを生命エネルギーとして利用するシステムです。システムが共通していることが、細胞が似通っていることの原因なのです。

節足動物のように骨格をもたず表皮そのものが堅くて外形を維持している生物では、細胞壁はセルロースの代わりにキチンからなり、これにカルシウムやタンパク質が絡み合って強固な細胞を作り上げています。

また、キチンを細胞壁に含むものには、カビやキノコなどの菌類も知られています。ちなみに細菌などのより下等な生物では、その細胞壁はペプチドグリカンから成っています。

キチンは、われわれの身の回りの菌類のほとんどに含まれています。細胞壁中のキチンの割合は、平均的には、15~30%といわれています。そして細胞壁以外の部位には存在しません。

昆虫では外皮はキチンやタンパク質でできています。カニやエビの殻はキチンやタンパク質のほかにカルシウムが加わって、さらに頑強な構造となっています。

食品として利用されるキチンは、主としてカニの殻から得られたものです。カニ殻は缶詰工場等から良質のものが安定して入手できるためです。

カニ殻を酸とアルカリで処理して得られるキチンは分子全体が非常に強固な結合構造をしているため、水に溶けませんが、さらに強アルカリで高熱処理すると酢酸系に溶けるようになります。

こうして得られたキチン質は、体内ではリゾチームやキチナーゼ、キ卜サナーゼという酵素で加水分解されて、キトビオースなどのオリゴ糖になります。

食物繊維、キチン

食生活の変化が生んだ弊害については、いろいろな形で知識として得たり、私達自身も体験している筈です。例えば、食卓からほとんど失われた食品をあげてみましょう。

その代表が昆虫です。人間が昆虫を食べることさえ若い人たちには信じ難いものになっているかも知れません。

もちろん生のままでなく、例えばイナゴやミジンコの佃煮として、しばしば食卓に上がったものから、ハチの子のように珍重されたものまで幅広くあります。

アリの子は缶詰として輸出されている事実はご存じでしょうか。昆虫ではなくても、サクラエビやカワエビ、サワガニなど殻ごと食べられるエビやカニも酒の肴にはちょうど良いのです。

キノコ類にしても、ご飯のおかずとしてはもとより酒の肴として重宝がられています。酒が百薬の長といわれていますが、むしろ肴が百薬の長といわれるための大きな役割を果たしていたのではないでしょうか。

厚労省が、あるいは科学技術庁が食品の分析をしてもその数値によって食品の良し悪しを決めて文科省の教育材料にして、近代文明での食生活を支配してきたのではないでしょうか。

1992年10月19日食物繊維が食品成分表に初めて登場しました。朝日新聞の同年20日付で、"食物繊維、食品成分表に。栄養素以外では初"。との見出しで、(以下、朝日新聞より)成人病予防に効き目があるといわれる食物繊維が、食品にどれだけ含まれているかがわかる日本食品食物繊維成分表が19日、科学技術庁の資源調査会(武安義光会長)から発表されました。

学校給食や病院での栄養管理の基礎資料になっている「四訂日本食品標準成分表」に、227食品の食物繊維含有量が加えられるもので、栄養素以外が同表に入ったのは初めてでした。

食物繊維の定義は厳密には決まっていませんが、同調査会では人の消化酵素で、消化されない成分としています。セルロースやペクチンが代表ですがこれらは20年ほど前までは「何の栄養にもならない邪魔もの」と考えられていました。

大腸ガンや心臓病、糖尿病などの成人病が増えているのは、食生活の洋風化による食物繊維の摂取量が減っていることと関連があるとみられています。

食物繊維のうち水溶性のものは膨張して粘り気を持つため、食物の胃の中での滞在時間が長くなり小腸での栄養物吸収を緩やかにします。このため血糖値の急上昇を抑え糖尿病に良く、また、コレステロールを吸収しにくくし動脈硬化や胆石を予防します。

不溶性のものは大便の固さを増すことで腸を刺激し、便の大腸通過時間が短くなります。便秘を防ぐ効果があるといいます。

同調査会ではこれらの研究結果を踏まえ、食物繊維を多く含む食品について、可食部百グラムについて調べました。乾燥状態では寒天の80.5グラム、干しシイタケの42.5グラム、カンピョウの30.1グラムなどが群を抜いています。

調理済み状態では干し柿、インゲン豆、ゴボウなどに食物繊維が多く含まれています。

< 日常の食品中の食物繊維 >食品含有量( グラム)
ごはん 茶わん1杯(140g)    0.6
食パン 2枚(100g)      2.3
そ ば 200g ゆでる      4.0
サツマイモ 100g 蒸す     2.2
ジャガイモ 100g 水煮     l.9
おから   40g        3.9
インゲンマメ  40g ゆでる   5.3
ゴボウ  30g 水煮      3.4
ホウレンソウ 50g ゆでる    2.2
干し柿 1個            6.1
リンゴ 1個 (中)          2.6
干しシイタケ 40g 水煮     3.2

食物繊維の必要摂取量は、一般に1日に20 から30グラムとればよいといわれています。

≪ 解説 ≫
栄養分として認められていなかった食物繊維が、栄養管理の基礎として使われる食品成分表に入りました。洋風化が進む日本の食生活ですが、食物繊維の多い食品は俗に「はし休め」と云われていた豆や海草、キノコなどに多く含まれていることが分かりました。専門家は「日本古来の食生活を見直して欲しい」と訴えています。

1982年に作成された「四訂日本食品標準成分表」では「繊維」という項目はあるものの栄養にならないため、カロリ一計算の際に食品重量から除かれていた邪魔ものでしたが、食生活の変化に伴い、その有効性は認められ、成分表に入れられました。

日本人の平均的な食生活はここ30年程の間、肉の摂取量が増え、主な食物繊維源だった穀物類が減っています。その穀物も精白が進み繊維分が減りました。また、昔は食卓によく顔を出した煮豆やヒジキなどのおかずも少なくなっています。

今回、調査をした高居百合子、武蔵丘大教授は「日本の食文化の変化が食物繊維見直しにつながった」と話しています。(以上、朝日新聞より)

1986年大阪女子大名誉教授の堀越フサエ医学博士は、雑誌ニューライフ8月号の中で、キチン質は動物性の食物繊維に分類され、植物性の食物繊維と同時に摂らなくては不合理だと言っています)



みえてきたキトサン①

昭和40年頃(東京オリンピックの後)筆者等は、硅酸ジルコンの微粉末(平均1ミクロン) を脱鉄の為、塩酸処理して固液分離する為に、キチン・キトサンを大量に使いました。

当時、固液分離には、合成された凝集沈澱剤が使われていましたが、濃塩酸中の硫酸ジルコンの凝集には無力でした。

世界中から色々の高分子物質を取り寄せてやっと手に入ったのはアメリカ製のキトサンでした。方々で分析してみても当時は正体はつかめませんでしたが、カチオン性の凝集沈澱剤として使いました。

高分子凝集沈澱剤にはプラスイオンを吸着するアニオン性と、マイナスイオン物質を吸着するカチオン性があり何れも現在では一部を除いて合成されたものは多い。

天然の高分子物質のほとんどがアニオン性で、唯一大量に存在するカチオン性物質は、キチン・キトサンです。

私達の食生活は、食品分析表によるタンパク質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラル等によってほぼ支配されてきたと考えられますが、その主体はいずれもプラスイオンを調整するか、プラスイオンになり得るもの及びカロリー源でした。

食物繊維にしてもセルロースを意識したものであれば、アニオン性すなわちプラスイオン調整機能を意識して摂り続けていたことになります。

愛媛大学医学部の奥田教授等の測定の結果、直接関連する臓器が正常でさえあれば、プラスイオン即ちNa+ Ca+ Mg・・・等いつどんな状態でも変化せず常に正常であったといいます。

日常生活では好むと好まざるとにかかわらず、口から入ってくるものに食塩や水道水中のCL-があります。これらを少なくするには減塩食や、水道水からCL-を抜かなければいけません。

水産庁では、水産物の持つ健康性機能について体系的、総合的に評価するとともに、その効果的利用のための水産加工等技術開発を図り、ひいては水産物の消費拡大に資するため、平成元年より水産庁研究所を中心として「水産物健康性機能有効利用開発事業(平成元年~5年)を実施してきました。

本事業の委託先である広島女子大学(加藤秀夫教授)及び愛媛大学医学部(奥田拓道教授)において、食塩のNa+よりもCL- に血圧を上昇させる作用が強いことが初めて確認されました。

また、エビやカニ等の甲羅由来の食物繊維である、キトサンが食塩に含まれるCL- の吸着・糞排出を促進し、血中CL-濃度を低下させることにより、血中ACE (アンジオテンシンI 変換酵素)活性が低下し、本態性高血圧(他に基礎疾患をもたない高血圧)における血圧上昇が抑制されることが、動物実験及び臨床試験により初めて明らかになりました。

みえてきたキトサン②

キトサンからなる食品添加物質及び、抗高血圧剤を生体的に投与することで、食品等と共に摂取されたNaCL 中のCL-をキトサンが吸着し、腸管からの吸収を抑制し糞中への排世を促進する優れた働きをします。

これにより体内の血液中のCL―濃度の増大を抑制でき、その結果、昇圧作用に直接関与するアンジオテンシンI 変換酵素の活性化作用を抑制できるため、高血圧の予防及び治療の双方に用いることができます。

また、食塩摂取量を制限しコントロールする必要がなく、食事の味付けにおいても健康な人のものと変わらずできます。

わざわざ低塩食を作る必要もなく、また味覚的にも塩味を呈する食塩(塩味は食塩であるNa+ とCL - の総合的な味として知覚される。) を用いることができ、低塩食における味気ないものと、ならない点でも優れた食品添加物質及び抗高血圧剤となり得るものです。

生体への投与量は、通常1日当たりの食塩の摂取量が12gである場合、体重70kgの本態性高血圧症の成人男性の患者に対し、通常5~6g/日の範囲がその治療に必要な大体の目安となります。(以上、キチン・キトサンの高血圧抑制効果「広報媒体」農政クラブ及び、水産庁)

このように愛媛大学医学部の奥田拓道教授らの研究成果は画期的なものであり、キトサンを愛し理解しようとする者にとってこの上もない朗報となりました。

即ち地球上の生態系のバランスを取るために大きな役割を果して来たと主張し続けてきたためにその裏付けを実証してくれたことになりました。

20年程前「何の栄養にもならない邪魔もの」と考えられていた食物繊維が、1992年10月19日食物繊維が食品成分表に初めて登場し、その必要性を認め、科学技術庁の資源調査会が発表しました。

しかし、その中には食物繊維とありますが、キトサンという字は見当たりませんが1986年「ニューライフ」の中で堀越フサエ医学博士談の中に「キチン質は動物性の食物繊維( ダイエタリーファイパー)に分類され、植物性のダイエタリーファイバーと同時に摂らなくては不合理だといわれています」とあります。

植物性ダイエタリーファイバーは水中で-に荷電し、キチン質は水中でプラスに荷電します。

キチン質、キトサン

人間を初めとする脊椎動物では、カルシウムの骨格とセルロースの皮膚を獲得したかわりにキチン質を失いました。
しかし食物として摂取されたキチン質が体に及ほす影響を考えると、脊椎動物もまた、キチン質連鎖に組み込まれる筈です。

自然界の鳥類は雑食のものが多い。雑食であると言うことは、鳥類が生きていくための必要性からであり、本能としてキチン質もセルロースもその分解酵素も摂取できると言うことです。

データとしてニワトリの例をみましょう。養鶏場の鶏は穀物と少量の貝殻(カルシウム)を与えられるだけの、キチン質から隔離された環境で育てられているので、データを取るのにかっこうの材料となります。

鳥類の分泌液からは、キチン分解酵素は検出されていません。従ってエサとしてキチン分解酵素を摂取しなければいけません。

その分解酵素は植物の中に含まれているキチナーゼ、キトサナーゼです。一般に鳥類は消化率は悪く平均的にみて、35%位が消化され65%が排出される、と言われていますが、この鶏にキチン質をアルカリ処理したキトサンを与えると、キトサンの消化吸収率は80%を超えることが確認されています。

結果として、養鶏場の鶏にキトサンを与えると、成育が促進されたり、産卵数が増えたりといった生物本来の効果が確認できます。

慣用飼料にコレステロールを加えた実験でも、キチン質を与えたグループでは、血中コレステロールの上昇がわずかであったことが実験的に確認されています。

こうしてみると、鶏の卵でさえ人間の知恵で増産だけを目的に調整して与えたエサで育って産んだ卵が味がないとか、ブロイラーの肉が水っぽいとか、地鶏との違いの原因の全ては、キチン質不足にある様に思えます。

地鶏が運動量が十分なばかりでなく、ミミズや昆虫などからキチン質を豊富にとり同様に必要な消化酵素を草をつついて食べています。

鶏の慣用飼料に少量の食塩を与えると死滅しますが、少量のキトサンを与えると産む卵の量は増え、ブロイラーとしての味もよくなると言います。ここにもマイナスイオンコントロール物質としてのキトサンが存在する様に思えます。

脱アセチル化、キトサン

キチンとセルロースは共に、地球上で1000億トン同量生物生産されているとすれば、共に生態系に同等の或は同程度の影響を与えているにちがいありません。陸地でのキチンとセルロースの共存は容易に確認できます。

草木の葉が落下して、水と空気と湿度が与えられて多種類の酵素が発生してやがて多くの微生物が発生しその微生物等が落下した草木葉を分解して自からの肥料にして生命の維持と新しい生命体の保全に役立ててきました。

その微生物の細胞壁がキチンであり、これを吸収して光合成の母体としてのセルースを生産しています。

ちなみに植物の母体となっているセルロースは、生命の母体(種) さえあれば光と水と空気とカロリーだけでその生命が保持され、生物として生産され増殖を続けることができるが自からの生物発育に限界があります。

植物自体にH2O、N、O、C、が必要で、それ等の全ての原素はセルロース自体の構成物質です。

しかしし、自然態の中で光と水と空気とカロリーだけで生息し成長し続けている植物は見当らない。常に土を母体としたり自からが生産した葉や幹が分解して出来た肥料分やそれに伴って発生した微生物を含んだ、流水の中に生存し発育を続けています。

植物は長期生存し、或は種子を残し継続的に生命を維持し次世代迄も生存を続け尚、繰り返す為には光合成による成分だけで生命体を存続しているわけではないことは容易に判ります。

生物の中には光合成で維持できる必要原素の他に植物の構成物質となるCa 、K、P、Fe、その他多数の原素が含まれており、それらが常に自然界の中で循環しています。

それ等の微量原素が最も適量存在している生物は最も良く成長し長期生存する筈です。

一方、動物はそれ自体光合成できる能力をもっていません。常に地球上で光合成された植物を餌にして生存しています。植物以外の微生物でさえ光合成されず植物を媒体にして生存しています。

その食物に含まれた原素以外のものを(極一部の物質を除いて)体内に取り込む能力を基本的にもっていないと考えて良い。

ところが動物は餌として体内に入れたセルロースを元にしてキチンを生産するか又は元来大形動物にはキチンを生産することが確認されていないので他にキチンを含む生物を体内に摂り入れています。

植物に似た、あるいは植物と同じ場所に生息し、ほとんど運動のできない節足動物や細菌類或は動物の餌になりやすいものは全てキチンを体の細胞壁や外壁にもっています。

その量は冒頭に述べた通り地球上で1000億トンセルロースと同じ量であるとすればお互に常に同棲していたと考えるのは自然です。

何億年もの生態系の歴史がキチンとセルロースとの同棲の上に成り立っていたとするなら、我々人類も生態系の中に組み込まれなければならないはずです。

歌を忘れたカナリヤではないがキチンを忘れた人類は、今直面している現実をキチンを忘れた延長上で、その弊害を解決しようと無理な努力を続けてる様に思えてなりません。

近代文明で科学技術分野の傑作とされ基礎及び応用分野で大いに役立った硫酸、塩酸、硝酸、苛性ソーダ、これらの化学薬品に対してセルロースは全ての薬品に柔順に反応して中に入れると全て溶けてなくなります。

これに対し、キチンは外観的には全く形を変えず何の反応も示さなかったかにみえたが、近代科学は分子構造を変えていることを我々の世代で発見しました。

中でも、最大の発見と思われるのは苛性ソーダを使ってキチンの脱アセチル化に成功したと云うことでしょう。

大変な作業で45%苛性ソーダ溶液を100度~120度に加熱し、20時間も煮沸するとやっと反応して脱アセチル化が完了するというものです。次には塩酸を使って低分子化に成功したということです。

苛性ソーダを使って脱アセチル化したものを学術的にキトサンと名付けました。

これは酢酸に容易に解け食べると消化、分解されることが確認されましたが、近代科学者らはここまでがキチン質の自然態であると定義付けて、「キチン・キトサン」と名付けました。

このキトサンに更に塩酸を利用して短分子化することに成功し最小単位の単糖( グルコサミン)にまでできることを発見したが、これが自然であるとの定義づけはできていません。


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  • 偶然の出会いから
  • 力二殻健康食品、開発の経緯
  • 生物界のシステムにカニ殻が作用
  • キトサンが皮脂の再生能力を高める
  • 昔から、カニの殻の民間療法はあった
  • 一時的に好転反応も、副作用はない
  • キトサン研究で日本がリード

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