キトサン製品誕生秘話~日本初のキトサンサプリはこうして生まれた!
1986年、日本で初めてキトサンサプリが発売されました。キトサンはその後、健康・医療界から注目され、一大マーケットへと成長します。キトサン製品の開発経緯を、キチン・キトサン協会理事長の松永亮氏と大磯敏雄氏が振り返る。(出典:(社)日本健康倶楽部発行月刊「健康日本」より)
プロフィール:大磯 敏雄(おおいそ としお)
1908年東京出身。京都帝国大学医学部卒業。厚生省国民栄養行政を担当し厚生省公衆衛生局栄養課長、厚生大臣官房参事官、国立健康・栄養研究所所長を歴任。食糧栄養調査会会長。医学博士。
プロフィール:大磯 敏雄(おおいそ としお)
1908年東京出身。京都帝国大学医学部卒業。厚生省国民栄養行政を担当し厚生省公衆衛生局栄養課長、厚生大臣官房参事官、国立健康・栄養研究所所長を歴任。食糧栄養調査会会長。医学博士。
偶然の出会いから | 力二殻健康食品、開発の経緯 | 生物界の生きるシステムにカニ殻が作用している | キトサンが皮脂の再生能力を高める | 昔から、エビ・カニの殻の民間療法はあった | 一時的に好転反応(めんけん反応)も、副作用はない | キトサン研究で日本がリード
■ 偶然の出会いから
大磯:松永先生と「キチン・キトサン」との出会いについてお聞かせ下さい。 松永:1989年8月19日、大阪で労働衛生コンサルタントの学会に出席のため、新幹線で大阪へ向かう車中で、たまたまカニ殻健康食品メーカーの社長と隣同士になりました。 タバコの銘柄が2人共同じだった事から会話のきっかけができて、自己紹介をして、カニ殻健康食品と「カニ革命」という本を一冊別れ際にいただきました。 ちょうどその頃、「機能性食品」という言葉を耳にするようになっていました。 大磯:その後は、どうなされたのですか? 松永:いただいた「カニ革命」の著者とは、偶然にも旧知の間柄でして、それもあって、「これは・・」という事になり、改めてカニ殻健康食品を再認識したわけです。 そして、いただいた2瓶のうちの1つをカナダ人(男性)の友人(75才)に渡しました。その友人からは、右耳の皮膚がんを治療中で、右耳を切断するか、液体チッソで右耳の部分を固定して「B」という制ガン軟骨剤を塗る2つの方法を提示されたのでどうすれば良いかという相談を受けていました。 「私があなたの立場なら、75才という年齢を考えると耳は切らないし、制ガン剤を打つ方法も否定します。もう一つの液体チッソで固定する治療を選びましょう」とアドバイスをして、彼はその治療中でしたので、再来院した折に、この「カニ殻健康食品」を体に良い物なので食べてみませんかと勧めてみました。 彼はそれを素直に食べて、約10日ほどで見た目も悪かった状態の右耳のガンが私(名古屋市指定乳ガン検診医)が見てもきれいになりました。 液体チッソで固定し、制ガン剤を塗る治療方法以外に、「カニ殻健康食品」を食べてもらった事だけで「きれい」になりました。
■ 力二殻健康食品、開発の経緯
大磯:因果関係として考えざるを得ませんね。 松永:臨床的にはまだまだ解明して行かなければならない所はあるんですが、まあーそれしか考えられませんね。 大磯:それは飲んだ(食べた)だけですか。 松永:そうです。もちろん液体チッソで固定し、制ガン剤を塗る治療を行っていましたが、どんどん大きく(患部が)なり、少しも良い現象が見られなかったのですが、それが見事に・・・。 大磯:なぜその社長(カニ殻健康食品メーカー)は「キチン・キトサン」を開発しようと思ったのでしょうか。 松永:その社長に聞いた限りですが、彼はその10数年前厚生省の管轄だったと思いますが産業廃棄物処理施設技術管理という制度があって、その講師として講義をしていました。 その時、境港(鳥取県)でカニ殻が大量に出て、その処理を彼の境港の友人から、カニ殻を野積みにしているその回りの作物が育ちが良い、肥料に良いのではないか、肥料化できる機械を作って欲しいと頼まれ、大きい乾燥機を作りました。 同じ時期に「文部省の科学研究費総合研究(B)」のデータを見ると、今までのファクター(有機質肥料) とは別のファクターが良いと分かりました。 その社長は、何とか、人聞が食べるようにできないか・・・、人間とカルシウムの関係、カルシウムと能力の関係をずっと思い続けていたわけですが、ちょうどそうした時期に文部省の研究発表のデータにある、「キチン」を見て「これだ! これが全てだ」と思ったということです。 大磯:その頃、現地(鳥取県境港市) の肥料応用の状況はどのようだったのですか。 松永:その友人の肥料にしたいとの要請に応えて、肥料化(カニ殻肥料「カニライム」の機械を作りました。結果は梨の産地ですから、梨の木は70年くらい出荷できるそうですが「カニ殻肥料」を施すと2~3年で若木のようになり、成長を取り戻したようになり、元のように収穫が出来て肥料として実用化されたということです。 果実は味覚に出ますが、味も良くキチンはそのような条件を全て満たしたわけで、みかん、梨でも文部省のデータ通りだったわけです。
■ 生物界の生きるシステムにカニ殻が作用している
大磯:少し乱暴な言い方かもしれないけれど、医学界、健康医学と言うか、栄養医学の立場の方々が、キチン・キトサンが、人体に良い事のヒントは、ミカンや木が立派に育った事の延長線にあるんですか? 松永:私がその新幹線車中でカニ殻健康食品メーカーの社長からいただいたカプセルを日の当たらないシンピジウム、コチョウ蘭に与えたらスクスクと花を付けました。 大磯:じゃあ先生は、まず最初にシンピジウムに与えたんですか。 松永:コチョウ蘭が、1年に4 回咲くんですよ。 大磯:ほー、蘭は徴生物と共存するんだから、そのカニの効果が出たんでしょうかね。 松永:共存共栄というか、バランスで生きているんですね。 大磯:カナダ人のご老人に与える前にシンピジウムで試されたんですね。 松永:カニ殻健康食品のカプセルをプチッと切って埋め込むだけで、死んだ木が生き返るんですよ。枯れて、先の方がポリポリでしたが、キチン・キトサンを与えると生き返って、また青い葉が出て来るんです。これは不思議だったですね。 大磯:先生が園芸家であれば別ですが、ドクターですからね。 松永:僕は生きとし生ける物を愛してますからね。父親が好きで錦鯉をたくさん飼ってました。ところが鯉に黒い斑点(潰蕩)が出来た。その病気になった鯉を引き寄せて、塗ったら治りましたね。 大磯:あれは何病とい言いましたかね。 松永:黒斑病と言ったと思いますよ。潰瘍から、人間でいうとガンにまで発展するんでしょうね。それと赤と白のコントラストが非常に良くなり、池の水もきれいになるんですよ。水草も青々として来たそういう作用を目のあたりに見てこれは全ての生物に良いんじゃなかろうかと思いましたね。 大磯:それはカプセルを与えたんですか。 松永:最初カプセルを与えたんですよ。次に粉が出来たので、飼料に粉をまぶして与えました。粉を水槽の金魚に日に1 回、スプーン一杯分位与えると長い間水を替えなくても良いです。 大磯:先生は医学者ですから、単に神秘的な素晴らしさだけでは納得いかないでしょう。 松永:そうなんです。花にしても病気になっただろうし、粉を溶かして0.05%位に薄め噴霧器で、溶液を掛け、葉が生き生きと、葉や茎も枯れないんですね。咋年の暮頃から「アマリリス」に、それをせっせと掛けたら、普通の3倍位の大きさに育ってしまいました。(水耕栽培) 大磯:生物界の生きるシステムの中のウイルスや菌等を調節するんですかね。その菌をなくす(静菌作用)にこのカニ殻が何か作用しているというわけですね。
■ キトサンが皮脂の再生能力を高める
松永:植物に良い菌と悪い菌があり、悪い方をやっつけて、良い方を助長してくれる作用があると思いますね。 大磯:キチン・キ卜サンは昔から解っていましたけれど人間にはそれを分解する機能が無い訳ですね。そこで面白いのはエビ・カニの殻(キチン・キトサン)が火傷に効くんですね。 松永:コンスタンチン君の例ですね。 大磯:火傷をすると空気に触れている部分は、沢山のウイルスや細菌がくっついて治りを遅くします。それにおそらくそれ(キチン・キトサン)を塗った時に、うるさい奴 (ウイルス、細菌) を押さえて、皮膚の再生を助けるという事があるんじゃないかと思うんですよ。 松永:抗菌、鎮痛、抗潰傷、止血作用があって、「ユニチカの木船先生」が開発した人工皮膚が、ロシアのコンスタンチン君の火傷の治療に非常に役立ったんですね。 大磯:そうですね。皮膚は身体の「オルガン」 (器官) の一つで、他の器官と違って、最近、臓器移植が話題になっていますが、異物に対する拒絶反応が、一番きついのが、皮膚なんです。 大磯:皮膚は頑強で、異物を寄せ付けない。頑強で寄せ付けないから、火傷した時に移植しでも拒絶反応が起きる。キトサン(人工皮脂) を貼ってあげると、皮脂の再生能力を高めてくれるんですね。(コンスタンチン君の治療例) 松永:その非常に敏感な、頑強な皮膚でさえも異物と見なさず、拒絶反応を起こさないんですね。生体適合性が有り、異物ではないんです。 大磯:キチン・キトサンは人体にとって決して異物ではないということですね。 松永:唯一の物質なんです。他の物質は全て拒否するんですよ。 大磯:だからなじむんですね。
■ 昔から、エビ・カニの殻の民間療法はあった
松永:薬品に対して、非常に安定(分解されない)するんです。たとえば硫酸や苛性ソーダを持ってきてもびくともしない。ところが、これを分解する酵素が人間の唾液の中にあるリゾチームがキトサンを分解できる、細胞にも合まれている。 大磯:キトサンになると分解されるんですね。 松永:元奈良医大の教授が、キチン・キトサンから、コンタクトレンズを開発されたのですが、そのレンズが初めの頃、濁って来るといっておられた。濁るという事は涙の中のリゾチームにより、変性を受け、消化されるということですね。 昔から、お婆ちゃんから風邪を引いたとか、お腹が痛くなった時にカブトガニの殻等を煎じて飲ませてくれました。そういう所に発想があったのですね。 大磯:今ではそのカブトガニの血液を研究するようになったのですね。昔から、エビ、カニの殻は民間療法的にあった。 松永:「明」の時代から在る“本草網目”に載っていますね。摺って軟膏ようにして塗ったり、団子のようにして食べたりしていました。 大磯:漢方の本に載っていますね。抗生物質が“カビ" から作られた様に、次の世代には別な物が出来るかもしれません。 松永:その“カビ" とカニ殻に含まれているキチン質の割合が同じなんですよ。 大磯:キチン・キトサンという物がまだ良くわからない部分が多々あるけれど、素晴らしい可能性を秘めた物質のようですね。新しい物質に関心が高まっている時代といえると思いますが、松永先生は現在の医療をどう思われますか。 松永:今は、薬物が氾慌している時代ですね。我々医者が出す薬は、化学合成品です。確かにキレ味は良いが、反面多く使えば弊害があり、見直されています。 21世紀に向かつて、病気は自分で治す。病気にならない様に努力しなければなりません。まさに「キチン・キトサン」はその意味においては非常に良い物質ですね。 「キチン・キトサン」の特性を基礎的な研究から得られた結果を見てみると、この時代のニーズに合っています。色々な健康食品が出回っていますが、この「キチン・キトサン」は、別格のように感じます。 大磯:別格ですか? 松永:ええ、と言いますのは、前に出ましたが、機能性食品という見地からいいますと、①老化を予防する、②免疫を高める、③病気の予防、④病気の快復、⑤体内のリズムを調節する、ということです。 この五つの機能を満たす物質である事は、私は、まだ3年半くらいしか経っていませんが、臨床の場でかなりの手応えを感じています。これからは、しっかりと臨床の裏付けをすべきですね。そうして欲しいですね。 大磯:そう、それが大きな壁です。
■ 一時的に好転反応(めんけん反応)も、副作用はない
松永:いろいろと私の患者さんに与えて見て、医者が見放した「ガン」が良くなっている事実も出ています。 C型肝炎が多いですが、診てもらっている主治医に「これ(キチン・キトサン入り健康食品)を見せてご覧なさい」といったら、その有名な医師は「そんな訳のわからない物は効く訳がない・・・」といった、まだそんな認識です。 大磯:残念ですが事実のようですね。新しい物質が市民権を得て行く過程の中で通らなければならない関門のようですね。 先生にしてみれば、歯痒い事ですね。正直な所、キチン・キトサンは副作用が有りますか? 松永:全くありません。天然の物ですから。漢方で云う「好転反応J (めんけん反応)は出ますね。一時的に出る反応です。 大磯:我々、医学に携わる者は、どうしても薬を中心にして事を進めています。 一人ひとりが持っている自然治療カを軽視し、薬でいじめていますね。キチン・キトサンがヒトの本来持っている免疫能にどのように作用するのか。 松永:物質の中で、キチン質だけがカチオン性で、水の中で溶けると、このキチン・キトサンは、プラスに滞電する訳です。他の物質は、-に滞電するんです。 体内の血液は、常にP.H値7.4に一定しているんですが、それが、7.3とかになってしまうと免疫細胞が死んでしまい、病気の要因につながります。 これは愛媛大の奥田教授が発表されています。自分がモルモッ卜になって、食塩が体内でナトリウムと塩素の2つに分かれて、CL一(塩素)が血圧を押し上げる、キトサンを5g食後に食べると、CL一(塩素)を吸着して体外に排出する。 従って、キトサンを摂取すれば、血圧は昇らない訳です。病院食のような食事から解放されると思いますね。(水産庁の委嘱を受けた、愛媛大医学部、広島女子大の研究〈キトサンで血圧上昇の抑制効果について〉で判明と、水産庁より発表)
■ キトサン研究で日本がリード
大磯:この「キチン・キトサン」つまり機能性物質ですが、研究者や業界、消費者の組織、学会の方の動きはどうなのですか。 松永:キチン・キトサン研究会が、過去にシンポジウム・講演会を開催しています。日本が世界のリーダーシップを取り、研究発表の数を見ても3分の2を占めています。 大磯:国際学会等の流れを見ても、日本が先進国なのですね。 松永:そうです。 大磯:国の研究開発費等の援助の現状はどうなのですか。 松永:水産庁、農水省が予算を取っています。文部省は昭和60年度(文部省科学研究費総合研究(B) ) だけですね。厚生省は残念ながら無いんですよ。 大磯:「キチン・キトサン」の原材料は「カニ」だけですか。 松永:どんな種類の「カニ」でも「キチン・キトサン」は取れますが、加工しやすい面で「紅ズワイガニ」から、「キチン・キトサン」を作っています。 自然界の分布として、エビ、キノコ類、昆虫類の表皮やイカの軟骨。菌類の細胞膜に含まれており、年間にして推定で1,000億トンも生物再生産されています。 大磯:漁業との関連もありますが、資源の保護、獲りすぎによる、枯渇という事もキチン・キトサン協会として提唱していって欲しいですね。 松永:害の無い物質ですから、いろんな分野で使われ始めて沢山のメーカーが競って、製品を出していますので、生物再生産されるといっても限りある資源ですので、自己管理としっかりした、倫理観を持って、工業生産に当って欲しいですね。 大磯:キチン・キトサン協会として、また「キチン・キトサン」をこよなく愛する医師として、行政と製造メーカ一、消費者と販売従事者に対して何を求めますか。 松永:行政に対しては、臨床に使ってみていろいろと良い結果が出ているので、医学的に、臨床的な裏付けをしていただく研究をしていただきたい。 製造するメーカーに対しては、日本産の「カニ」では間に合わなくて外国から原料を輸入して生産しているとも聞いています。粗製乱造が心配ですね。行政当局の指導も在ってしかるべきと思います。 大磯:先生の知る範囲でも既に行われていると見て良いですか、売れれば良いと短絡的に捉えているメーカーも在ると。 松永:無きにしも在らずでしょう。しっかりとした倫理観を持って、自己管理の上に立って製造して欲しいです。 消費者と販売に携わる人々に対しましては、キチン・キトサン協会として、あくまでも清く、正しく、人類の健康に貢献する「キチン・キトサン」を幅広く、認識して頂き、我が国の行政指導のもとで注目され、開発された20世紀最期の物質なのですから、世のため、人のため、と高い視点に立ち、充分な理解、認識のもとで行動して欲しいです。 大磯:宇宙を含めた自然界という大きな次元で人間の健康を考え、「キチン・キトサン」の持つ特性を理解して、世のため、人のために、これからのご活躍を期待しています。今日は本当に良いお話を聞かせていただきました。
(出典:「キチン・キトサン協会誌」VOL.8~9より)