なぜ、キトサンが必要なのか①~キトサン講座
健康・美容、スキンケアなど多彩な用途のカニ殻由来のキチン・キトサン。なぜ現代人にキチン・キトサンが必要なのか。キチン・キトサンの効用とは、キチン・キトサンの基礎と臨床についてご紹介します。(「キチン・キトサン協会誌」Vol.23-24より)
キチン・キトサン協会理事長 医学博士
アスタークリ二ック理事長 松永 亮
アスタークリ二ック理事長 松永 亮
キチン・キトサン、1986年に文部省で一斉に研究 / 予防医学の基本、「食・動・静」 / キチン・キトサン、本来の自然治癒力を高める / キチン・キトサン、我々の生態調節をしてくれる
キチン・キトサン、1986年に文部省で一斉に研究
この宇宙は150億年前にできました。50億年前に太陽が、46億年前には地球が生まれました。この地球に生命が生まれたのが35億年位前ですね。徐々に酸素ができていろいろな生物が進化し、20億年位前には恐らくキチンが主成分ではなかったかと想像される新核生物が生まれました。
節足動物や植物などは3億5千万年位前。そして我々人類は、やっと4~5百万年前、新参者です。今のホモサピエンスは数十万年しか経っていません。
その我々が18世紀の産業革命以来、この地球を汚してきました。地球の温暖化ですね。現在も南極のオゾン層には北アメリカ大陸をすっぽり覆うような穴があいています。
そして非常に有害な紫外線が直接地上を襲う。その結果我々の皮膚に炎症を与えたり目に白内障が生じる。ひどい場合は皮膚ガンに発展する。
それから熱帯雨林の伐採も。伐採により東南アジアの山々は砂漠化し、そこにある生態系のバランスが崩れ動植物の棲む場所が奪われていきます。
それと地球上の人口です。高齢者が増えていきます。年寄りになる我々が元気にならなくてはいけません。環境問題、人口問題、高齢化社会、どれをとっても不愉快なことばかりです。
でもその中で、神様が我々に与えたのがこのキチン・キトサンなんですね。紀元前からセルロースとキチンの2つの物質が、この生態系のバランスをとってきました。それぞれ地球上で年間約1千億トンもの生産量があると言われています。
セルロースは紀元前から利用され、キチンの研究はロシアとリヒテンシュタインという国が合体して非常に良い研究グループを作り、一番最初に始めました。
でもお国柄軍事目的なんですね。またアメリカのデュポン社も早くから手がけ、Dr.キャッスルという方が平野先生にお話しになり日本での研究のきっかけを作ったと言われます。
そして、行政指導で1982年には農水省が未利用資源バイオマス開発10ヶ年計画を始めました。
その中で大変良いキチン・キトサンができ、1986年に文部省で一斉に研究が始まったわけです。特別研究費、約60億の予算を組み全国13の大学で研究が始まりました。
その後、人体や組物、農産物に対しでも非常に良い効果があるという画期的な研究報告が逐次なされて参りました。そしてちょうど文部省が研究を始めた頃、キチン・キトサンが健康食品として1986年3月1日に第1号が作られました。
予防医学の基本、「食・動・静」
私は医学を学んで参りましたが、今の医学というものは、いわゆる治療医学と予防医学に分かれます。18世紀の唯物論の甚だしい頃に心と肉体が離されて研究され発達したのが現代医学です。"心のある医療"というものがこれからは大事ですね。皆さん病気になりたくないのが本音ですね。お年寄りになっても元気でいたい。そのためには、良い先生につくことです。
そして予防医学に心がける。その予防医学とは皆さんのライフスタイルなんです。まず「食」~食べる事、「動」~運動する事、それから「静」~休養する事。
この3つが核です。食の第一義というのは栄養ですね。三大栄養素の他にビタミン、ミネラル、繊維素。そしてそのシッポに地球が育んだ自然の健康食品。
キチン・キトサンを初めとして数限りなくあり無尽蔵に見つかってくるでしょう。食生活の延長上になる健康食品。中でも機能性を持った物をバランス良く取る。それが食生活の基本です。
次に運動です。一日に150calの運動をしましょう。縄飛び、水泳或いは早く歩く。卵一個かご飯一杯のカロリーですね。それだけの運動を毎日これが原則です。
それから休養。よく寝ましょう。標準の人で一日に6~7時間の睡眠をとりましょう。これが健康を守る為のライフスタイルの3つです。
それにストレスをいかに解消するかという事に努力しなくては。そのライフスタイルをきっちりする事が自分の健康を維持推進し予防医学の基本となる事を忘れないように、今日は覚えて頂きたいと思います。
ところで、キチン・キトサンの話ですが、水の中の甲殻類~エビ、オキアミ、カニ。地上のカブト虫、コガネ虫等の殻の硬い虫やセミ、バッ夕、ゴキブリ。それからキノコにもたっぷりキチンが含まれております。
もともと1811年ブラコノーがキチンを単離した時はキノコからでした。細菌の細胞膜にも含まれます。メーカーによって異なりますが、殆どはベニズワイガニの脚からとっております。カニの甲羅はキチンと蛋白質と炭酸カルシウムを3分のl位ずつ含んでいます。
化学的に炭酸カルシウムと蛋白質を除くと純粋なキチンができます。そのキチンを今度は45%位のカセイソーダで120℃で数時間沸騰させますと純粋なキトサンができます。
今までのはキチンが大体10~15%、キトサン85~90%の割合でしたが、さらにもう一度脱アセチル化する事により、かなり精度の高いピュアキチン・キトサンも可能であるというくらいまできています。
キチン・キトサン、本来の自然治癒力を高める
また別のルートでは、キチナーゼやキトサナーゼという酵素を使い抽出する方法もあります。そうしてできたキチン・キトサンとはどういう特性を持っているのか。素晴らしい3つの特性があります。まず毒性がない事。漢方では副作用、毒性がなく、長く続けても体に差し障りがないものを「上薬」と言いますが、正に上薬ですね。西洋医学的にはアダプトゲンと言うことができます。
特徴の2つ目は目的臓器がない事。皆さんが診察にいらっしゃると目的によってお薬を出しますが、キチン・キトサンにはこの目的臓器がありません。
結局、我々が本来持っている自然治癒力を高めるという物なんですね。3つ目は生体に良い影響を及ぼす事。生体調節性を持っている。
我々の生体をうまく調節して良い状態にする食物。その生体調節性の第一番は老化を抑制する事。これは決して長生きをさせる物ではありません。生きている限り元気にして頂くものだというふうに、解釈して頂きたいと思います。
第二番が我々の免疫機能を限りなく高めるという事。免疫機能というものは体に異物が入った時にそれを排除する細胞群です。そういう免疫細胞を賦活化する。元気にする。
そして感染症に非常に強くする。若い頃でもガンはできますが発症しないのは、ナチュラルキラー細肪という免疫細胞がガン細胞を食ってくれるからなんですね。
そのように免疫機能を高めて我々を導いてくれるものだと。先程私が申しました予防医学の原点です。これが一番のメインの目的です。
病気にならないようにキチン・キトサンを利用する。それから不幸にして病気になった時は早く回復してくれる。それからもう一つ、人間の生態のリズムの調整。我々には自律神経、交感神経、副交感神経がありますが、特に交感神経を刺激します。
そして病的状態、例えばガンになると非常に血管が縮まります。食欲がなくなり痩せて参ります。ところがキチン・キトサンを飲んでいますと食欲中枢(交感神経と同じ中枢)を刺激して食欲が出る。
だから顔色も良くなる。血管が開いて手も温かくなる。非常にクオリテイ・オブライフを高める事にもつながるわけです。
キチン・キトサン、我々の生態調節をしてくれる
このように非常によく我々の生態調節をしてくれるのが、キチン・キトサンということです。健康というものは、自分たちで作るものです。我々医者が皆さんの健康を管理するのではありません。病気になった時はある程度ご相談にのりますが、医者が病気を良くするのではありません。
二十四世紀前に、我々の大先輩であるポプラテスが言いました。「医者は診断すればよろしい。医学というものは人間を見ればいいんだ。治すのは自然なんだ」。我々の体も、自然なんですね。そしてこの自然が病気を治してくれる。今、この言葉が蘇ってきたんですね。
病気を治すのは自分。予防するのも自分。せっかくこの世に産まれて、良い人生を全うして頂く為に、今日私が申しましたライフスタイルをきちっとする。そして良い健康食品をうまく組み合わせ、取り入れることにより、皆さんの健康の維持増進を目指して頂きたい。
かけがえのない人生を最後まで楽しく送って頂きたい。1948年にWHOができた時に「健康」の定義をいたしました。健康は肉体が元気であるだけではない。
精神的にも良い状態でなければならない。さらに社会的に限りなく良い状態。これは我々人類がこの世に生き続けている限り変わらないと思います。
この地球が育んでくれた素晴らしいキチン・キトサンを我々人類だけでなく、キチンを持つものも持たないものも必要としております。
そして我々が生きる力を限りなく高めてくれるのですね。このキチン・キトサンを皆で二十一世紀を超えて守り抜いていきたいと思います。